フレンチプレスの美味しいいれ方 おすすめのコーヒー豆や器具の洗い方について

監修  キーコーヒー コーヒー教室 シニアインストラクター
金井 育子(かない いくこ)

フレンチプレスは、専用の器具を使うことで、とても簡単に美味しいコーヒーをいれられるコーヒーの抽出方法です。香りや味わいなどフレンチプレス特有の風味が楽しめます。今回はそんなフレンチプレスの基本的ないれ方や洗い方、さらに美味しく味わうための解説をプロ監修の下ご紹介します。また、フレンチプレスのいれ方を動画でも紹介するので「フレンチプレスを使うのが初めて」という方もぜひチャレンジしてみて下さい。

フレンチプレスのいれ方① 準備をする

01.必要な器具を準備する

1 フレンチプレス フレンチプレスには目盛りがついているもの、ついていないものがあります。基本的にはどちらのものを準備しても大丈夫です。初心者の場合、お湯の分量はフレンチプレスに入れる前に量っておくと安心です。
2 スプーン、計量カップ コーヒー粉を入れる際に使用するスプーンとカップです。今回使用したものはコーヒー専用メジャースプーンで、すり切り10gが量れるものですが、ご家庭にあるものを使って下さい。
3 計量器/秤(はかり) コーヒー粉、湯量を量るための計量器です。
4 タイマー 浸漬しんせき時間を計るために使用します。 計量器とタイマーをこれから準備されるという方は、計量器とタイマーが一緒になっているものもあります。使いやすいものを準備して下さい。
5 ケトル(沸騰したお湯) お湯を注ぐためのポットです。おうちにあるやかんや電気ポットで代用しても大丈夫です。ポットの中には沸騰したお湯を用意します。
6 コーヒーカップ カップはコーヒーを注ぐ前にお湯を入れて、温めておくとさらに美味しく飲むことができます。
7 コーヒー粉 いつも飲んでいるものや実は気になっていたもの、そのときの気分で好きなコーヒーをお選び下さい。
今回のコラムで使用した粉
インドネシア・スラウェシ島トラジャ地方で生産されたアラビカ種の名品「トアルコ トラジャ」を使用し、甘くフルーティな香味のブレンドコーヒーに創り上げました。熟したベリーやチョコレートを想わせる甘くフルーティーな香味が特徴です。

02.器具の下準備をする

1 器具を温める まず、空のフレンチプレスにお湯を注いで温めます。 お湯を入れた後、シャフト(フレンチプレスの蓋)を取り付けることで器具全体を温めることができます。
2 コーヒー粉を量る いれたい杯数分のコーヒー粉を量ります。コーヒーカップ一杯分だと、10gが適量とされています。量り終わったら、フレンチプレスのお湯をコーヒーカップに入れ替え、そちらも温めるようにしましょう。 もちろん、最初からコーヒーカップの中にお湯を入れておいても大丈夫です。

フレンチプレスのいれ方② 抽出する

1 フレンチプレスにお湯を注ぐ コーヒー粉をフレンチプレスに入れて、あらかじめ用意しておいたお湯を140cc注ぎます。10gのコーヒーが20ccの湯量を吸収しますのでできあがり量は120ccとなります。 お湯を注ぐ際には、勢い良く入れてコーヒー粉を対流させるようにしましょう。初めての方はゆっくりお湯を注いでも大丈夫です。入れ終わったら、スプーンで数回かき混ぜると全体がなじみます。
お湯の温度は?
お湯は沸騰させたものを準備しますが、フレンチプレスでいれる際、安定したコーヒーの風味を楽しむためにも沸騰したてのお湯を入れるのは避けるようにして下さい。(95度前後がフレンチプレスでコーヒーをいれる際の美味しく飲める目安となります。)沸騰したお湯を用意しておけば、準備をしている間に適温になっています。
2 フレンチプレスにシャフトをかぶせ、3分間置く シャフトを取り付ける際には、ゆっくりとコーヒーの香りを閉じ込めるように、蓋をするようなイメージでかぶせて下さい。またタイマーはお湯を注ぎ終わった段階でスタートさせて下さい。
3 プッシャーを押し下げる タイマーが鳴ったら、フレンチプレスが動かないよう片方の手で取っ手部分を押さえながらゆっくりとプッシャーを下に押し、シャフトを下げます。 シャフトの長さがメーカーにより異なるため、最後まで押してしまうとコーヒー粉の繊維がつぶされ、余計な渋みが出てしまうことがあります。その際は一番下まで下げないようにして少し浮かせるのがポイントです。
4 カップに注いで召し上がれ あらかじめ温めておいたコーヒーカップに注ぎ入れます。カップ表面を良く見ると、フレンチプレスならではのコーヒーの油分がキラキラと光っているのがわかります。そちらもぜひ楽しんでみて下さい。

フレンチプレスの正しい洗い方や管理の仕方は?

1 コーヒー粉を捨てる フレンチプレスに粉が入っている状態で水道水を入れます。こうすることでプレスの熱が抑えられ、洗う際に触っても熱くありません。水道水が入った状態で流し捨てて下さい。
2 ポット部分を洗う 中性洗剤で、しっかりと洗いましょう。
3 シャフト部分を洗う シャフト、フィルターは分解して洗うことをおすすめします。こちらも中性洗剤を使い、コーヒー粉や油分が残らないようにしっかりと洗うようにして下さい。
4 乾燥させる 洗った後は、しっかりと水分をふき取ります。 万が一、コーヒーの水分が付着したまま乾かしてしまうとにおいが残ってしまい、次にコーヒーをいれるときに新鮮な香りが楽しめなくなってしまうので注意。 ポット部分も同様に水分をふき取ってから乾燥させます。
においや色が気になったら?
毎回しっかり洗っていても、においや色がついてしまうことはあります。そんなときには漂白剤を薄めた水に30~40分浸けると気にならなくなるので試してみて下さい。フレンチプレスを使う頻度にもよりますが、においや色が気にならなくても週に1回程度行うと事前に防ぐこともできます。一度ついてしまったにおいや色は完全に落とすのがなかなか難しいので日ごろから心がけていると長く愛用できます。

フレンチプレスとは

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そもそもフレンチプレスとは、コーヒーを抽出できる器具のこと。そして、手軽に抽出できるので初心者の方にもとてもおすすめです。フレンチプレスにコーヒー粉とお湯を注いで3分待つだけなので、コーヒーの抽出器とポットが一緒になったものというイメージです。

01.フレンチプレスの特徴

フレンチプレスはとにかく手軽にコーヒーを抽出できるのが最大の特徴。何といっても、フレンチプレスではお湯を注いで3分間待つだけ。待っている間にはミルクを温めたり、好きなスイーツを用意したりとスキマ時間に他のことができるのも魅力です。 分量と時間を守ればいつでも同じ味わいが楽しめ、手順が少ないにも関わらず、理想に近い味を再現できる優れものです。また、分量を変更すれば薄くしたり、濃くしたり、自分好みの濃さに調整するのも難しくありません。いろんなコーヒーを気軽に試してみたい、そんな方にフレンチプレスはおすすめです。

02.フレンチプレスの味とは

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フレンチプレスでコーヒーをいれると飲み終わったカップの底にコーヒーの微粉が残っているのが見えます。これはフレンチプレスの金属メッシュフィルターがコーヒー用のペーパーフィルターと比較するとやや粗い作りになっているためです。 これにより、コーヒーの油分が液体に溶け出し、豆そのものの香りと味を楽しむことができます。油分=うま味成分なので飲みにくさは全く感じられず、むしろフレンチプレスでいれたコーヒーは軽い口当りになるので、どんな方でも飲みやすいのが特徴です。 油分はコーヒーをカップに注いだときに表面にキラキラとしたものが浮いて見えるので、確認してみて下さい。

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フレンチプレスの豆知識

01.紅茶の器具と一緒?

フレンチプレスを見ると、「紅茶をいれる器具(ティープレス)と一緒?」と感じる方もいるのではないでしょうか。実は紅茶用とコーヒー用、どちらも使う器具はほぼ同じ。 ですが、兼用にするのはあまり良くありません。なぜなら前述したようにコーヒーをフレンチプレスで抽出する場合、油分が出るからです。いくらしっかり洗っていたとしても同じ器具で紅茶をいれてしまうと、紅茶の色を濁してしまうことになるので避けることをおすすめします。

02.ステンレス製とガラス製、どちらを使う?

ステンレス製とガラス製、それぞれに以下のような利点があります。
ガラス製…軽くて扱いやすい ステンレス製…重みがあるが、保温性に優れている
どちらを選択しても扱いにくさを感じることは、あまりありません。そのため、デザインやフォルムを見てお好みで選んでも問題ありません。

03.フレンチプレスで抽出したコーヒーに合うスイーツは?

酸味のあるすっきりとした 味わいのコーヒー 苦味や酸味のしっかりとした 味わいのコーヒー
・いちごのショートケーキ ・フルーツロールケーキ ・レアチーズケーキ ・その他柑橘系のお菓子など ・リンゴのタルト ・ベイクドチーズケーキ ・ガトーショコラなど
フレンチプレスでいれたコーヒーは、コーヒーの油分をダイレクトに楽しめるため、乳製品を使用したスイーツとの相性が非常に良いです。 酸味のあるすっきりとした味わいのコーヒーの場合、生のフルーツ(特に柑橘系)に生クリームを使用したフルーツロールケーキや、レアチーズを使用したレアチーズケーキなどのスイーツが合います。 一方で、苦味や酸味のしっかりとした味わいのコーヒーには、フルーツを焼いたり、煮たりするりんごのタルトのようなスイーツや、バターやカカオを使用したガトーショコラのようなスイーツが合います。選んだコーヒーに合わせてスイーツを選ぶのも楽しいですよ。

04.フレンチプレスを使ってアイスコーヒーはいれられる?

もちろんいれられます。ポイントとしてはアイスコーヒー用のコーヒーを準備して最後に氷で急冷するので濃く作ること。 一杯分作りたい場合にはコーヒー粉10gに対しお湯は80㏄ほど注ぎます。3分待ちシャフトを下げたら、急冷するために氷を入れた別のサーバーなどにコーヒーを注ぎ入れ、良く混ぜて下さい。 おうちで作る氷はだいたい1個20gなので一杯分なら2つ必要になります。真ん中にくぼみのある氷はその分だけグラム数が足りなくなってしまうので、3つ入れます。コーヒーは時間を掛けて冷やしてしまうとせっかくの香りが飛んでいってしまうので注意が必要です。

フレンチプレスを使用してコーヒーを楽しんでみましょう

フレンチプレスのいれ方は、思ったよりも簡単ですね。用意する器具も少なく手間もかからないので、試してみたかったコーヒーをすぐに楽しめるのが最大の魅力です。 ハンドドリップのいれ方に慣れていない方や、「コーヒーは好きだけど、いれ方がわからないから自宅ではいれない」という方は、まず初めにフレンチプレスを使ってコーヒーを楽しんでみませんか? 初心者でも美味しいコーヒーがいれられるので、自宅でコーヒーを楽しむきっかけになるかもしれませんよ。

抽出器具別 おいしいコーヒーのいれ方

抽出器具別のおいしいコーヒーのいれ方動画をまとめました。 毎日のコーヒーのいれ方のご参考にしてくださいね。 https://onlineshop.keycoffee.co.jp/shop/pages/video.aspx

記事監修

金井 育子(かない いくこ)

  • ・キーコーヒー コーヒー教室 シニアインストラクター
  • ・キーコーヒー コーヒースペシャリスト上級資格
  • ・J.C.Q.A(全日本コーヒー検定委員会)認定 コーヒーインストラクター1級
  • ・各種専門学校、カルチャースクールの非常勤講師
1985年入社、コーヒー教室配属。講習アシスタントとして、コーヒー業界のキャリアをスタートさせる。 1993年から、15年間にわたり首都圏の主婦を対象に行ったコーヒー教室の企画では、約300回開催、累計4,500名以上に講習を行った。 キーコーヒーが定期的に行っていた、喫茶開業者向けの講習は、1994年に講師として勤め、さらに99年からは調理製菓各専門学校の非常勤講師も担当している。 2008年にはコーヒーセミナーとして一般の方が受講できるようにカリキュラムを変更するなど、様々な方にコーヒーのおいしさと楽しみ方を、講習を通じて伝え、活躍の場は絶えない。